読了。

マークスの山（上） (講談社文庫)

読み応えあったなぁ･･･『マ−クスの山』
読み始めは、文体に慣れるのに少々時間がかかった。
流れに乗れば後は高速でスイスイ〜
最後は２ギアでアクセルベタ踏みして坂道を登る様な感覚で、読んでいて力が入る。
内容はミステリーで“警察小説”とも言われている。
合田刑事の、現場と保身の間での葛藤も深く描かれ、
人間の弱さと強さと犯人の狂気とが描かれる。
ミステリーとしては、最初に描かれる冬山での殺人事件と心中事件を発端とする、
連続殺人事件の謎解きで引き込まれる。
そして、警視庁内部での手柄をめぐっての牽制と潰しあい、
所轄と警視庁の関係や検察と法務省の横槍と隠蔽体質などがミステリーと並走して描かれ、
それが“警察小説”と言われる所以だ。
刑事部屋と捜査会議での丁丁発止は緊張感がある。
これが女性作家の作品とはねぇ〜凄い。
難をあげるなら、謎解きが全て遺書に書かれていた点。
もう少しひねって小出しにして欲しかった。
でもラストの雪山シーンで帳消しだなぁ。
無償に悲しくなった。澄み切った空と大きな富士山が、無償に悲しかった。