旅 足袋

職人の仕事が見たくなって出かけた先は、ちょっと離れた、でも、同県内。
行田で足袋の製造工程を見せてもらった。
それはそれは細かく、実演をまじえて見せていただいた。
感謝です。
職人さんの腕とミシンの工夫が凄い。
全てのミシンには100年以上前の年号が刻印されていた。

こはぜを縫い付けるマシーン!
下部の、布送り用の部品は、こはぜの穴の間隔に合わせた溝が刻まれている。
狂ってくると、針がこはぜを直撃してしまう。
その時は針が折れるのではなく、こはぜに穴があく。
そうそう、一番上のこはぜにだけ、サイズが刻印されているんだった。

足袋のつま先部分を思い浮かべると…
底用の布に、親指が入る布とその他四指が入る布が立体的に縫い付けられている。
底用の布の外周に合わせて、上の布にギャザーを寄せながら縫い合わせていくわけだ。
それをなんとこのドイツ生まれのマシーン君がこなしてくれている!
ボビンは水平釜だった。

元々靴のつま先用のミシンを日本に持ち込み、足袋用に改造して出来たとのこと。
かかと部分の縫いつけに、1cmの円形に縫い目を描くミシンもあった。
そうだっけ〜!丸い縫い目なんてあった??
今度、古い足袋を捨てる時は分解してみなきゃ。
掛け糸なんて、てっきり1箇所ずつ縫われているのかと思ったら、
1本の糸だったから驚き!
それも専用ミシンで1箇所ずつ玉止めしながら(!)縫い付けられていた。
  
これは手縫いからミシン縫いに移行した初期のミシン。
なんと下糸が無い! つまり並み縫い。
それでも手作業より効率が上がったのだろうね。
しかし、針が上下するだけでは並み縫いは出来ない…不思議だ。

かつて日本一の生産量を誇ったこの街で、今も足袋を作っている会社は20社ほどだそうだ。
地下足袋も作られているのだけど、手にとって見たのは初めて・笑
こはぜで止めるのね〜!履きやすそう。履きたい。履くべきだ!と思ったね〜
デザインをちょっと変えればジーンズとかに良いと思うけど。
 
街の雰囲気は少し函館に似たものを感じた。
1度は好景気に沸いた街。
時の流れを静かに受け止めて、良い物は残そうよ、大事にしていこうよ、という空気。
街の人が自分の街の歴史を好いている雰囲気が羨ましかった。