読了

新装版 一絃の琴 (講談社文庫)

新装版 一絃の琴 (講談社文庫)

一絃琴という楽器を知らなかった。
 
元々京都のお公家さんの間で楽しまれていた物が、
江戸から明治へと時代が移る中で、高知で盛んになる。
高知で一絃琴の塾を開いた女性の実話に基づいた物語らしい。
 
キーワードがいくつかあり・・・
武家の女・芸の道・時代の流れ・女性の地位
女の幸せ・意地
 などなど。
ウハハ!堅苦しい(;-_-;)
そう、ちょっと肩が凝る話だった。
文体に慣れると中盤からは一気に読めた
 
主人公の苗は祖母から武家の女として厳しく躾られる。
それがまぁ〜良かったのか悪かったのか・・・
何しろ何だか窮屈な生き方だ。
万事控え目でありながら、恐ろしく誇り高い。
人前で感情を出す事も「はしたなき事」で、苗さんは声をあげて笑ったりしない。
 
人の気持ちを思いやる事ができるのは天晴れだと思う。
じっと自分の内面を見つめて「嫉妬」や「自己中心」などの“醜い感情”が芽生えていると感じるや、
それを封印すべく努力をし誓いを立てる。
第一に自分に厳しい。
ひゃ〜もう芯の強さにひたすら感心。
自分と比べて冷や汗をかくくだりも多い(;-_-;)
 
苗さんはエライ!よく頑張った。
でもね〜やっぱり武家の流れの明治の女。
町方の明け透けな空気や態度になじめず、
席を同じくするのにも抵抗があるっていうのが抜けない。
一絃琴の塾にも氏素姓が明らかな者にしか入門を許さない。
まぁ、自分の後継者を良家の蘭子ではなく町方の雅子と考えた時点で
人の心根は身分とは関係無いという境地までたどり着いたのかしらん?
師匠から遠ざけられた蘭子も、自分の芸が何故受け入れられなかったのかを
最後まで悟る事なく逝ってしまった。
 
自分の事は1番わからないのかもしれないな。
生涯をかけて自分を見つめる作業を怠っちゃいけないなぁ・・・
というのが読後の感想だ。
ちょくちょく忘れて痛い目にあいそうだ(;-_-;)